死刑制度が重大犯罪を抑止する効果は証明されていない

「死刑制度には犯罪を抑止する効果があるので、死刑制度を廃止すれば重大犯罪が増えるのではないか」と心配する声があります。

つまり、死刑という刑罰があることで、殺人などの重大犯罪を犯す人が減る。もし死刑制度を廃止すれば、重大犯罪を犯すハードルが下がってしまうのではないか、という心配です。

世論調査でも、死刑制度を支持する理由として、「死刑を廃止すれば凶悪な犯罪が増える」という懸念が挙げられています。

しかし死刑制度があることで、本当に重大犯罪を抑止できるのでしょうか?

実は、その効果は証明されていません。

死刑を廃止した国でも、廃止後に重大犯罪が増えたというデータはありません。

また、死刑存置国と死刑廃止国とを比較して、死刑存置国の方が重大犯罪が少ないというデータもありません。

つまり、

  • 死刑制度があった方が重大犯罪を減らせる
  • 死刑制度を廃止すると重大犯罪が増える

そういったデータは存在しないのです。

さらに実際問題として、重大犯罪を犯しそうになっている人が、「この犯罪を犯したら死刑になるかもしれないから止めておこう」「死刑にならないから実行しよう」などと考えて行動するかというと、非常に疑問です。

むしろ、「死刑になりたい」という気持ちが動機となったとされる無差別殺人事件があります。

死刑制度があることで重大犯罪を抑止できているとは言えません。