What’s death penalty?死刑制度とは?
日本では、死刑、懲役、禁錮、罰金、拘留、科料という刑罰の種類が刑法9条に定められています。
そして刑法11条には、「死刑は、刑事施設内において、絞首して執行する」と定められています。
Problem死刑制度の問題点とは?
死刑制度の最も大きな問題は、刑事裁判で間違った判決が下され、死刑が執行されてしまった場合に取り返しがつかないということです。
「間違った判決が下されることなんてあるの?」
そう思われるかもしれません。
しかし刑事裁判は人間が行うものである以上、間違える可能性は必ずあります。
死刑判決が確定した後に新しい証拠が発見されたり、真犯人が見つかったりしたときには、「再審」といって裁判をもう一度やり直す制度があります。
実際に、免田事件・財田川事件・松山事件・島田事件という4件の事件では、死刑判決が確定した後に再審が開かれて無罪となり、4人の死刑確定者が生きて社会に復帰しました。
この4件では、死刑が執行される前に再審が開かれたので、無実の人が命を奪われることはありませんでした。
しかし、もし死刑が執行されてしまった後であれば、もはや取り返しがつきません。
実際に飯塚事件では、死刑判決が間違っている疑いがあるのに死刑が執行されてしまっています。今も再審は行われていますが、再審で無実とされても、すでに失われた命を元に戻すことはできません。
それなら、間違いなく「この人が犯人だ」と言えて、かつ、死刑が相当であると考えられるケースだけ死刑にすれば良いのではないか。そう思うかもしれません。
しかし、「私が犯人です」と自白を強要された例は過去にたくさんありますし、間違いなく「この人が犯人だ」と言えるケースだけを選んで死刑を科すというのは実際問題として不可能です。
制度として死刑がある限り、間違った判決によって命が奪われる可能性はあるのです。
Our Opinion私たちの考え
死刑制度を残すか・廃止するかについては、様々な議論があります。
愛する人の生命を奪った犯人が生きていることは許せない、死刑にして欲しいと被害者遺族が考えることは無理もありません。
犯罪によって他人の生命を奪った者に対する究極の制裁として、国家が被害者に代わってその生命を奪うべきであるとの価値観を否定するものではありません。
しかし、人の生命はもっとも基本的かつ根源的な人権であり、なによりも尊重されなければなりません。
私たちは、日本国憲法の下、人の生命は根源的な基本的人権としてなによりも尊重されるという価値観を共有しているはずです。
それなのに、死刑制度は、人の生命を奪うような凶悪な罪を犯した場合には犯人の生命を奪う、つまり理由があれば生命を奪うことを許すという制度です。死刑制度のある社会は、生命の尊厳に留保をつける社会です。
私たちは、そのような社会をこれからも望むのか、今まさに、十分な情報を得た上で、全社会的な議論をしていかなければなりません。
私たちは、政府に対し、死刑に関する情報を十分に公開した上、死刑制度の廃止も含めた議論を活発化させること、現行制度の下でも再審請求に死刑の執行停止の効果を持たせるなど死刑事件に関する適正手続の保障を十全なものとすることを求めています。
そして、そうした取り組みもなく、死刑執行を続けることに反対しています。
死刑制度のあり方や死刑制度の廃止について、もっともっと議論を進めていきましょう。